芹沢由紀子のblog

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2022nenngaミニサイズ

新年あけましておめでとうございます!
毎年お正月を明けてから年賀状を急いで仕上げて出す女は私です、遅くなってすいません。

昨年の皆様はどんな1年を過ごされましたでしょうか?
コロナにも慣れきって、引きこもりも長くなって体も心もなまってしまったのであれば、お仲間です!!

2022年のおうし座(わたくし)は、とっても運勢が良いらしいので、昨年末からとっても楽しみに今年1年を迎えられております!
全体的に、今年は世界中の皆さんが新しいことを始めたり、変身したり、新しい環境、新しいメンバーなど、心機一転するらしく(ネットの占い情報より)それはそれはすごいいい1年になりそうだわ~と、ウキウキしております。

昨年の夏までは「ママに王子は要りますか?」のシリーズにささげて、後半は特に原稿もあまりやらずに次回作の下調べや構想でのんびり使ってしまいました。でもおかげさまで、新シリーズがうまく準備を進められていて、楽しみです。

もう少したったら、詳細をこちらにもアップできると思いますので、お待ちくださいませ~

それでは、本年が皆様にとってよき1年となりますことをお祈りしております!
今年もよろしくお願いします

取材は久しぶりでした。

・ミュージシャン・プロ格闘家・もと覚せい剤中毒者・ソープランド経営者・SM嬢・形成外科医・マグロ卸売り業者・ウリ専ボーイ・美容師・美容学校経営者・性転換者・ニューハーフ・中学校教員・旅館仲居さん・プロカメラマン・やけど重症患者さん・脊髄損傷者さん・スポーツトレーナー‥‥andmore

デビュー以来20年以上、とにかく今までたくさんの職業に方々に取材をさせていただき、マンガを作ってきました。
私の知らないことをマンガにするのに、取材は欠かせません。本を読んだだけでは絶対得られないエピソードが聞けるので、私は取材が大好きでした。

しかし…最近はめっきり取材をさせてもらえませんでした。
取材どころか、この数年、コロナのせいもあって、マンガ編集者、インタビュイー、仕事に関わる人と直接会う打ち合わせは皆無で対面での会話自体が、まったく出来なかったのです!

よくてズーム会議。直接会ったこともない人と、メール打ち合わせだけで仕事をしたこともあります。
出版社の編集さんにも、メールだけで営業して、メールだけで断られ、完結してしまった仕事さえありました。とんだ時代になったもんだ。と嘆いても仕事は進まない。
なので、めげずに取材交渉は粘り強く続ける私。

すでに数件、依頼をコロナを理由に断られたけど、取材申し込みに返事すらくれない団体もあったけど、そんな中、「いいよ!」と快諾してくださったのが、フリーライターで、ノンフィクション作家でもある小野一光さんでした。

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最近では、ネットニュースやネット記事で、世間を騒がせた殺人事件や、フーゾク関連のライティングで小野さんの記事を目にすることも多いので、ご存じの方もいらっしゃるかと思います。

私と小野さんの出会いは、20年くらい前に、「少女A」とか「わたしのからだ、わたしのねだん」というマンガ作品を描くにあたって、フーゾクや援助交際(当時はこう呼んでた。いまならパパ活)にお詳しい小野さんに取材をしたのが最初で、その当時は「なんでも知ってて、話がものすごく面白いおじさんだなあ~」という印象でした。
その当時の取材はとても楽しくて、非常に参考になりました。私の漫画は、おかげさまでとても濃い内容のものに仕上がりました。満足しています。
ただそれっきり、小野さんとお会いする機会もなく年月は過ぎていきました。

私はその間も、小野さんの著書などをいくつか読んで、「お元気そうだ、著作も大変面白いし興味深い。いつかまたお話したい」ともくろんでいたのでありました。

とくにここ数年は、日本中を騒がせた犯罪事件につよく惹かれ、調べたり考察するのが趣味みたいにもなっていたので、まさに、多くの犯罪者を長年取材され、対峙されてきた小野さんの著書が心に響いていました。
「家族喰い」「連続殺人犯」「人殺しの論理」すべて読みごたえがあり、重厚な内容です。
なので、小野さんには聞いてみたいことが山積みで、私はまるで長年会っていなかった恋人に会えるかのようなウキウキした気持ちで、取材の約束の日までドキドキ過ごしておりました。

小野著作
↑小野さんの著作の一部

駅前の昔ながらの喫茶店に、待ち合わせをして、そのままお話を伺いました。

「本日はありがとうございます!お元気でいらっしゃいましたか?」
「今は元気になりましたが、昨年病気をして、入院手術を経験しました。5か月前も、東北に取材中に具合が悪くなり、地元の病院に救急搬送され、入院と検査の日々でした。」
小野さんはもともと呼吸器に持病があり、コロナに感染すると危ない、と医者から言われているそうで、さらに昨年それとは別の新たな内臓の病気も見つかったそうです。
そちらは完治されたようで幸いです。

「コロナ禍に見舞われた世の中になっても、手術を要する病が発覚しても、基本的には大きな心の変化や価値観が変わったりすることはないですね、ぼくは運命論者なので、死ぬときは死ぬし、助かるときは助かる、とどっしり構えています。」と小野さん。
とくに、日本中がコロナで閉塞していても、今までの仕事のやり方やスタンスは変わらなかったそうです。特に不自由も感じていないとか。スゴイ!

私は、取材しにくい、編集さんやスタッフさんと会えない、とフラストレーションMAXだったというのに!
「コロナ禍が2年以上続き、世の中の価値観が大きく変化したと思いますが、ワクチンがいきわたり、今後世界は2年前までの同じ環境に、また戻ると思いますか?」と聞いてみた。

「今回のパンデミックは、まさに分断の時代だと思います。世界の価値観を大きく分断した。」
都市部と地方、ワクチンを打つ派とワクチン反対派、テレワーク推奨派と保守派、時代の変化についていき柔軟に対応できる側とそうでない派、などなど。たしかに、飲食店やライブハウス、コロナが起こって株価が上昇した企業と廃業に追いやられた職種…
まさに世の中の人間の考え方や生活スタイルは、大きく分断されてしまったと納得できました。
小野さんは言います。
「ただアフターコロナといっても、今までの生活スタイルや価値観を大きく変える必要はないんじゃないか。それによるストレスで、人生が損なわれることは避けるべきだと僕は思います。」
なるほど、参考になります。
ムリして時代の流れについていこうとせず、自分は自分、なるようになる、というどっしりした気持ちでいると、不安も和らぎそうですね。

世間話はこの辺にして、本格的に小野さんの「フリーライター、ノンフィクションライター」というお仕事について聞いていくことにします。


「小野さんの著書といえば、連続殺人犯や死刑囚との対話、風俗嬢といったタイトルがずらっと並び、世間を騒がせた凶悪犯罪などを多く取材されていますが、もともとそういう「凶悪犯罪」などに強く惹かれ、専門カテゴリーのライターさんになられたのですか?」

「違います。フリーライターという職業には2種類あり、グルメ、スポーツ、音楽ととにかくジャンル問わずなんでも取材して仕事をこなすなんでも屋ライターと、ぼくのように専門分野を多く請け負うタイプの専門性のあるライターがいます。僕は、フリーライターなので、クライアントから依頼が来た仕事をこなしていくうちに、犯罪や風俗といったテーマの仕事が評価され、自然とそれらの依頼が多くなっていきました。」

「そうなんですね!ではご自身が惹かれて、この事件を連載記事にしたいと提案していくのではなく、オファーが来て、それを取材していく、というスタイルの中で、専門性が出来上がっていったということですね。もうかなり長いことご活躍されていますけど、このお仕事を天職だと思われますか?」

「天職、とまではいかないかもしれないが、自然とそうなっていったという感じです。ライターさんには取材が好きで続けているタイプと、取材を原稿に書くのが好きなタイプがいると思うんですけど、自分は原稿書くのが好きですね。ほかの犯罪系ライターと比較して強みがあるとしたら、自分はそこかなと。」
なるほど、われわれ漫画家にも当てはめるとすれば、私は原稿を描くよりも、こういった取材をしてストーリーを作るほうが好きなので、小野さんとは違って前者の方かもしれないなと思いました。
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 さて、世の中のヒット作コンテンツの多くで、実在の事件や犯罪者をモデルにしている場合が多いですが、実際に実物の犯罪者(死刑囚)と直に対面し、取材をされてきた小野さんからしたら、そういった「事件のエンターテイメント化」をどう感じておられるのでしょうか?
どうしても、聞きたくて聞いてみたいと思いました。

私は一読者・ファンとして、「闇金ウシジマくん」や、小林勇貴監督の映画「全員死刑」などが大好きなのです。
ウシジマくんには2002年の北九州で起きた松永太死刑囚の起こした監禁殺人事件がモデルにされていたり、「全員死刑」には大牟田4人殺害事件を起こした死刑囚一家、北村ファミリーを題材にしています。
他にも「冷たい熱帯魚」という映画は、埼玉の愛犬家殺人事件をモチーフにした壮大なクライムサスペンス作品として評価が高いもので、エンタメ作品としてはとても面白いです。

小野さんは全国の拘置所に足しげく面会に通い、彼ら死刑囚にち密なインタビューを試み、犯罪の真相に迫るスリリングな著作を発表されています。文字に起こせず公表できないような交流もあったと思います。
そんな「裏事情まで知り尽くし、本人をリアルに知っている」小野さんは、事件を面白おかしく脚色されたり美化されてしまっている殺人犯のコンテンツをどうとらえているのでしょうか?

後半へ続く



ノンフィクションライターの小野一光さんに話を聞く(前編)からの続きです


小野さんは全国の拘置所に足しげく面会に通い、彼ら死刑囚にち密なインタビューを試み、犯罪の真相に迫るスリリングな著作を発表されています。文字に起こせず公表できないような交流もあったと思います。
そんな「裏事情まで知り尽くし、本人をリアルに知っている」小野さんは、事件を面白おかしく脚色されたり美化されてしまっている殺人犯のコンテンツをどうとらえているのでしょうか?


「エンターテイメント作品と、実際の事件は別物としてとらえています。映画や漫画は、あくまでフィクションであり、楽しむためのものだから、とくに知っている事件が題材であっても、特別な感想はありませんね。」

「なるほど、小野さんのルポを読んでしまった後の私だと、実在の被害者や家族の気持ちなどに肩入れしてしまい、不謹慎!とか、美化された殺人犯像に怒りを覚えたり実際は違うだろ!と作品を作品として楽しめなくなってしまうんですけど…いや、作品は面白いし好きなんだけど…」

「それでいいと思います。芹沢さんのように、面白可笑しく作品を楽しんで、モデルとなった実際の事件に興味がわき、調べたりぼくらの本を手に取るきっかけにもなりますから。多くの人が事件や犯罪を知ることは有意義かと思います。」

「そうですね!これからも気にせずいろんなコンテンツをそれはそれとして事件と分けて考えて楽しんでいこうと思います。」

そして、そんな歴代の凶悪犯罪者や事件を追いかけ対峙されてきた小野さんですが、ご自身が恐ろしい目に遭ったり、逆恨みされたりといった怖い目に遭うことはないのだろうか?
若いころはカンボジアの内戦地帯やアフガニスタンの戦場に取材に赴き、弾丸飛び交う中を駆け回り生還した小野さんには、愚問だっただろうか‥‥

「犯罪系の取材ではとくにこれといった命の危険を感じたことはないけれど、ある殺人犯の記事をかいたことで、獄中の犯人から名誉棄損で訴えられました。それはもう、裁判で戦い勝って解決済みではありますけど。それと、フーゾク関係でとある女性に取材をした際、向こうからなにかシンパシーを感じたのか、ストーカーされてしまったことはあります。」

「どんなストーキングだったのですか?」

「心を病んだ、多重人格症のかたでしたね。いろんな人格になって昼夜電話をかけてくる。あるときは関西弁のおっさんになって脅してくる。」

「それは恐ろしい体験ですね!そちらも解決されたのでしょうか?」

「はい、証拠をそろえて警察に相談したら、警察から彼女に警告が行き、そこからはストーキングはなくなりました。ハハハ」

私から見たら波乱万丈な小野さんの恐怖体験ですが、運命論者の彼は基本「死ぬときは死ぬ、助かるときは助かる」という信条が根底にあるので、常に人生に起こる事象に対してフラットに淡々と受け止めていらっしゃるという印象です。

そして、そんなきわどい目に遭っても、危険人物の実像に迫っていくお仕事を続けておられる原動力というか、秘訣はあるのでしょうか?
または「世の中に伝えなくては!」という使命感のようなものはあるのでしょうか?

「やはり、まずルポライターとして、事件とか、人間を知りたい、突き詰めていきたい!という強い気持ちがないと、仕事がうまくいかないように思います。もっと知りたい!というのが動機になっています。」
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「家族喰い」尼崎連続変死事件(主犯 角田美代子)の壮大な取材ルポ


私なんかは、なぜ事件のルポやウィキを読んでしまうのかというと、ミーハー心が3割、残りの7割は「こんな恐ろしい犯罪に巻き込まれたくない、こんな恐ろしい目に遭いたくないから、どうしたら未然に防げるか?」の不安と恐れから解放されるため、という理由です。
事件や犯罪者心理を知り、理解することができたら、未然に回避できる確率が上がるんじゃないかと思ってるんです。
そんなわけで、犯罪を多く取材されてきた小野さんにお聞きしたいのは、犯罪者(特に人殺し)、自らの手を汚さず他人を洗脳・操作して殺人させる信じられないようなサイコパス(松永太や角田美代子など)の彼らは、もともと先天的にサイコパスの気質を持って生まれてきたプリミティブな犯罪者なのか?それとも育った環境のせいで、サイコパスになっていったのでしょうか?ということです。
小野さんにお聞きしてみました。

「両方だと思いますよ。複雑に絡み合っているというか。」

「そうなのですね、でも、私たち一般人が到底思い及ばないような冷酷で残虐非道な悪魔みたいな人間がどうして世の中に産み落とされてしまったんでしょうか?私はそればかり考えてしまうんですが」

「つきつめて考えても、答えは出ないと思います。わからない、理解のしようがない、彼らが確かに存在し、犯罪がリアルに起きたことである。それだけが真実です。なので、一番いいのは「知ろうとしない」そして、「知ろうとしてもわからないことがある」ということを「知る」ことが大事です。犯罪者の共通点、共通因子を追求するのをやめた方がいいです」

なんだか、小野さんの言葉に頭をガーンと殴られたような気分です。戦場や危険地帯を駆け回り、危険なリスクを取りながらも「知りたい」という心に突き動かされ様々な現場を足で、肉眼で、時に当事者と対峙しながら体験された小野さんのたどり着いた答えが、何よりもリアルで真実なんだと思いました。
と同時に、ぽやぽやと安全なぬるま湯につかりながら、ネットや読書で得ただけのにわか知識に畏怖しおののき大騒ぎしている私の存在自体が、とってもちっぽけに思えました。
だからと言って、打ちのめされ暗鬱な気持ちになったというわけではなく、むしろ頭の中の霧が晴れて、トンネルの先の光が見えた気分でした。
「そうか!わからないことがある、それでいいんだ!」

「仕方ない、それでいいんです。そして、まだ起こってもいないことを不安に思い恐れながら生きるのはやめた方がいいですよ!笑」
「そうですね、ほんとそうですよね~笑、ありがとうございました!」

さらに私が漫画家、ということもあり、
「こういった洗脳系の犯罪者をマンガにする際、お笑いとかには持っていけないものですか?」とご提案を頂きました。
「お笑いですか?(目をパチクリ)」
「そうです、不幸に陥れる洗脳ではなく、前向きで他人を幸せに洗脳するサイコパス笑、宗教とかではなく。」
「すごい新しいかもですね!考えてみます、おもしろそう~!」
と、アイデアまで享受させてもらいました。




というわけで、あらかた私がお聞きしたかったことは聞けたので、満足したしとてもすがすがしい気づきも得たのですが、小野さんのご厚意で「ほかにもなにか僕に聞きたいことがあれば何でも聞いてください」とおっしゃっていただいたので、思い切って
「相模原障碍者施設襲撃の事件の犯人の思想についてどう思いますか?」とか
「毒入りカレー事件の林真須美容疑者はえん罪だと思われますか?」など、自分が疑問に思う事件についていろいろ内情をお聞きしました。ここでは趣旨から外れますので内容については割愛します。

小野さん、お忙しい中取材にご協力くださり、ありがとうございました!またいつかお元気な姿を拝見しお話しできる日を楽しみにしております!お写真もお借りしました、ありがとういございました。

この日、小野さんから最新の著書を含め、2冊贈呈していただきましたので、さっそく読ませていただきました。ここからはつたないですが私なりの感想を書いていきます!


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↑小野さんから頂いた2冊



「限界風俗嬢」

こちらは表紙裏表紙のお写真も小野さんの撮影らしく、この本の中の取材対象の女の子なのかな?と誰なんだろう?と好奇心を掻き立てられました。素敵な装丁の1冊です。

私がSM嬢やソープ嬢を取材させていただいたのは20年以上前ですが、そのころに抱いていた彼女たちのイメージとはざっくりまるっと異なった印象を受けました。
20年前は、どこか親や彼氏など「第3者にフーゾクに身を落とされた気の毒な女の子たち」というイメージがぬぐえなかったのですが(あくまで私の視点)、今この小野さんの本に出てくる女性たちって、みんな自らこの世界に飛び込んでいて、しかも自分の立ち位置を冷静に客観視できていてすごいな、という印象でした。
そして、自分の性欲や性的嗜好を肯定的に考えていて、けして「気の毒」でもなければ「可哀想」でもない、しっかりとした自立した女性像を感じ取りました。
とはいえ、「会社の人には言えない、家族には秘密」というまだまだ市民権を得た職業とはいいがたい職で稼いだ過去を誇ることができないほの暗さもある。
風俗という職業があるからこそ助かっている女性たちも多いし、風俗が廃止されることはこの先も絶対にないとは思うけど、女性の誰もが憧れる職業にはならないでしょう。
その理由は、やはり女性の多くが、不特定多数の男性と性的交渉をすることを望んでいないから
。だけど、小野さんに心をゆるし、自らの人には言えない人生を赤裸々に話す彼女たちはこぞって「やってよかった。いろんな人を知れるから。世の中を知れたから」と言います。
そういう「暗くてじめっとしている」とはいいがたい彼女たちの本音を知ると、「なんなら私も若いうちにSMの女王様でも経験しておけばよかったな」とへんな後悔の念すら感じてしまいました。
コロナで一時的でも客足が遠のいた業界であるにもかかわらす、飲食店のような手厚い休業協力金もなく、保証もなく、それでも生活のため感染を恐れながらもお仕事をされている皆さんには、「体に気を付けて頑張ってください」以外に言葉が見つからない。
それでも、彼女たちを「逞しい」と締めくくった小野さんのあとがきに共感せずにはいられない。
私もへこたれている場合ではない。


「殺人者はそこにいる」

すでに18年前の初版から27刷めというロングセラーのノンフィクション・犯罪ルポ集で、私は初めて読みましたが、非常に濃厚で、読み応えのある1冊でした。
7名の執筆者が13の犯罪を紹介してくれています。そのうちの1話が小野さんのもので、小野さんはこの本を下さるとき、その13話の中の一つの話をめちゃめちゃ面白いから読んで!と進めてくださっていました。
ですのでとても楽しみにして読み進めていきました。

結論から言うとどれもすごく…残酷で、後味もわるく、もやもやするし、やるせない。でも、こんなにも人の人生はドラマチックなのか!と感嘆せずにはいられません。
事件に巻き込まれ、なんの罪もない殺されてしまった方や遺族の方のくやしさ、無念さ、痛ましさには心が締め付けられましたが、「こんなことが起こるのか!起こっていいのか?なぜなんだ???」と、まるでいつも無防備で楽しんでいる土曜ワイド劇場や火曜サスペンスみたいな突飛な事件が、リアルに起こっているという事実に驚愕するばかりです。
テレビや映画でやっているようなおぞましい事件の、さらに何倍も上を行く残酷な悪魔の所業に、口をあんぐりさせて言葉を失うほかリアクションがとれないという…無力感に襲われます。

この13のストーリーの中には、いまだに解明されていない未解決事件や、これ絶対コイツやろ犯人!とわかっているのに法で裁けないままで終わっている事件がいくつか混じっており、そういう事件を知ると、「誰が、どんな理由で、どのように殺されたのか。そして犯人には裁きが下りました」という事件が、たとえどんな残忍な事件だったとしても、「まだよかったね、解決をみて」という気持ちにさせられてしまいます。

取材されたライターさんたちの、根気や執念、主観も感じながら、当時世間を騒がせていたという記憶もよみがえり、読後感は重々しいものではありましたが、「読んでよかったなあ、他の人にも読んでほしいなあ、そして感想を語り合いたい」と思える深みのある1冊でした。
文庫版・オムニバス形式で、サクッと読めるので、バッグに入れてどこにでも持ち歩き、ちょこちょこ読み進められて便利でした!

というわけで、最後は読書感想文になっておりますが、「ノンフィクションライターの小野一光さんに話を聞いた」いかがでしたか?
なかば神経症気味で興奮して考えのまとまっていない私のインタビューに、わかりやすく丁寧に優しさをもって応えてくださってました。そんな小野さんの、暖かいお人柄などが伝わっていればいいなと思います。


私の趣味丸出しのインタビュー、楽しんでいただけたら幸いです。

最後に、小野一光氏の今後のご活躍お祈りすると同時に今後もルポなど楽しみにしています、ありがとうございました!!








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